エビデンス

Evidence
2022/05/17
  • 珪素
  • 美容

ヒアルロン酸産生促進に対する影響

試験番号: CAS19020503

報告書

真皮線維芽細胞の

ヒアルロン酸産生促進に対する

ウモ濃縮溶液の影響

試験依頼者 株式会社APAコーポレーション

被験物質 ウモ濃縮溶液

試験項目 ・真皮線維芽細胞ヒアルロン酸産生促進

試験実施日 2019年2月5日

保存期間 試験終了後5年間

報告書構成

1 要約

2 試験目的

3 試験概要

4 材料と試験方法

4-1 細胞

4-2 培地

4-3 被験物質

4-4 試験構成

4-5 試験操作

4-5-1 細胞培養

4-5-2 ヒアルロン酸産生促進

5 試験結果

5-1 ヒアルロン酸産生促進

6参考文献

1 要約

ウモ濃縮溶液を添加すると、 

・対照と比較し、ヒアルロン酸産生率が有意に増加した。

上記より、ウモ濃縮溶液は抗老化ケアに対して有効である可能性が示唆された。

2 試験目的

ハリや弾力があり、瑞々しく、シワができにくい肌状態を保つには、真皮線維芽細胞によるヒアル

ロン酸の産生が不可欠であると考えられている。そこで本試験では、線維芽細胞による、ヒアルロ

ン酸産生に対する被験物質の効果を検証する。

3 試験概要

加齢した人の皮膚で観察されるしわ・たるみ・小じわは、皮膚弾力(ハリ)の低下や柔軟性の低下、

乾燥が一 因と考えられている1-3)。とりわけ真皮線維芽細胞が産生するヒアルロン酸は皮膚の柔軟性や潤いに重要な役割を果たしていると考えられている。そこで本試験では、被験物質の真皮線維芽細胞ヒアルロン酸産生促進作用を評価した。

4 材料と試験方法

4-1 細胞

ヒト新生児由来の真皮線維芽細胞株NB1RGB細胞 (RIKEN BRC, Japan) を、CO2インキュベータ

(CO2濃度5%、37℃)を用いて培養し、本試験を実施した。

4-2 培地

10.0%(v/v) Fetal Bovine Serum FBS, Cat No. SH30071.03, Hyclone, UK)および1.0% (v/v)抗真菌

剤(Antibiotic-Antimycotic 100X, Cat No. 15240-062, Invitrogen, USA)を含むEagle’s Minimal

Essential Medium (EMEM, Cat No.051-07615, Wako, Japan)を用いた。

4-3 被験物質

30μM L (+) -アスコルビン酸 (CAS No. 50-81-7, Kanto Chemical, Japan) および0.1% FBS含有

EMEMによって

被験物質を希釈して計3濃度(0.03%, 0.3%, 3%)を用時調製した(終濃度は0.01%, 0.1%, 1%)。

4-4 試験構成

ヒアルロン酸産生の算出には1つの処理群につき96ウェルプレート(細胞培養:Cat No.3595,

Corning,USAヒアルロン酸産生:Cat No. 3855, Thermo scientific, USA)の3ウェルを用いた。また、

1プレートにつき被験物質群、対照群をそれぞれ1群設けて試験を実施した。被験物質調製を含め、

試験に関わる操作は別途記載のないかぎり室温で実施した。

4-5 試験操作

4-5-1 細胞培養

1)  96ウェルプレートに1ウェルあたり2.0 × 104 cells/200 μLのNBIRGB細胞を播種し、CO2

インキュベータ内で24時間培養した。また、培養時の乾燥を防ぐため、試験に用いないウェルにPhosphate buffer saline(PBS(-), Cat No. 198601, Nissui, Japan)を200μL加えた。

2) 24時間後、96ウェルプレートに被験物質および対照を100μL添加し、CO2インキュベータ

内で48時間培養した。

(被験物質の最終濃度は、0.01%, 0.1%, 1%)。

対照には30μM L-アスコルビン酸および0.1% FBS含有EMEMを用いた。

3) 48時間後、培養上清を新しい96ウェルプレートに分注・冷凍保存(-80℃)した。4-5-2に示す

方法により、Enzyme-Linked Immuno Sorbent Assay (ELISA)4)を用いて、ヒアルロン酸量を測定し、被験物質のヒアルロン酸産生促進作用を評価した。

4-5-2 ヒアルロン酸産生促進作用評価5-9)

コラーゲンやエラスチンの間で水分を抱え込むと言われているヒアルロン酸の産生量に対する被験

物質の効果をサンドイッチELISAで評価した。

1) 100μLの5μg/mL Hyaluronan binding protein (HABP, Cat No. BC40, Hokudo, Japan) 溶液

  を高吸着型96ウェルプレートに加え、24時間4℃で静置した。

2) HABP溶液を除去し、200μLの0.05% Tween20 in 1.5 M Nacl溶液(Wash buffer, USA NaCl:

Cas No.7647-14-5, Wako, Japan)で3回洗浄した。

3) 100μLの5% BSA溶液を加え、4℃で一晩静置した。

4) BSA溶液を除去し、200μLのWash bufferで2回洗浄後、プレートを乾燥させた。

5) 0.5 M NaCl、0.02% Tween20および1% BSA含有PBS (-)で100倍希釈した培養上清を1ウ

ェルあたり100μL 96ウェルプレートに添加し、2時間室温静置した。

6) 2時間後、200μLのWash bufferにて4回洗浄し、100μLのビオチン標識HABP (Cat No.

BC41, Hokudo,Japan)溶液を加え、30分間室温静置した。

7) 30分後、200μLのWash bufferにて4回、200μLの超純水で1回洗浄し、100μLのストレ

プトアビジン標識HRP溶液を加え、30分間室温静置した。

8) 30分後、200μLのWash bufferにて4回、200μLの超純水で1回洗浄し、ABTSを1ウェル

あたり100μL加え、10分間室温静置した。

9) 96ウェルプレートを270 rpmで30秒間振とうし、ウェル内の色素を均一にした後、マイクロ

プレートリーダーを用いて405 nmの吸光度 (OD405)を測定した。

10) 対照群のOD405を100%として、被験物質のヒアルロン酸産生率を算出した。

5 試験結果

測定結果の平均値、標準偏差および結果を棒グラフにした図を別紙に記載した。

5-1 ヒアルロン酸産生促進作用評価

各ウェルのOD405の測定値、対照のヒアルロン酸産生率を100%とした時の被験物質のヒアルロン

酸産生率を、表1および図1に示した。

6 参考文献

1) Y. Hara., et al., Int. J. Cosmet. Sci., 39(1), 66-71,2017.

2) JW. Choi., et al., Skin Res. Technol., 19(1), 349-355, 2013.

3) T. Fujimura., et al., J. Dermatol. Sci., 47(3), 233-239, 2007.

4) S. I. Rennard., et al., Analyt Bioc., 104, 205-214, 1980.

5) K. Chichibu., et al., Clinica Chimica Acta., 181, 317-324, 1989.

6) H. Maeda., et al., Biosci. Biotechnol. Biochem., 63(5), 892, 1999.

7) JRM. Martins., et al., Anal. Biochem., 319, 65, 2003.

8) S. Haserodt., et al., Glycobiology, 21(2), 175-183, 2011.

9) H. Yuan., et al., Glycobiology, 23(11), 1270-1280, 2013.

表1 ヒアルロン酸産生に対する被験物質の影響

図1 ヒアルロン酸産生に対する被験物質の影響

n = 3, mean±s.d., unpaired t-test, *P< 0.05, **P < 0.01, ***P< 0.001

s.d.: standard deviation

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